2010/02
虎党のよこしまデイリー VOL.01
講談社『ヤングマガジン』編集部の桂田剛司さんによるコラムです。
ああ、憂鬱ですね。フルネームをさらして文章を書くのが、こんなに辛いことだとは思いませんでした。雑誌誌面でイヤというほど記事は書いているし、ヤンマガの目次にある「黒ブタMidnight」で定期的に144字の駄文を書いてはいるんですが、匿名だったり、イニシャルだったりするので、それほど気にはならないんですよ。しかし本名をきちんと名乗って書く文章には、なんともいえない小っ恥ずかしさと恐怖がありますね。
自意識過剰と言えばそれまでなのですが、ネット検索で私の名前が引っかかるようになるわけですよね。そしたら「桂田ってヤツの文章なに!? まったくおもしろくない」的なことを2ちゃんに書かれたりするかもしれないわけですよ。もしそれを自分が見つけたら、心が折れちゃうよね。状況によってはダメージ、でかいよ。田舎に帰ってオヤジのコメ作りでも手伝おうかと思うかもしれないよ。
そんなことを考えると何も書けなくなっちゃうんです。
ただまあ、それはそれ。CLAMP先生のホームページに寄稿させていただけるということは非常に名誉なことで、精一杯、凡庸な文章を書かせていただきます。1年に1回ぐらいはおもしろいことを書けるかもしれませんが、あまり期待しないでください。宜しくお願いいたします。
第1話「初体験」
1月某日。4月23日発売の『XXXHOLiC』第17巻に付くオリジナルアニメDVDのアフレコを見学してきました。アフレコ現場を訪れるのなんて初めてで、映画『ラジオの時間』で観たような雰囲気の世界なんだろうなと、軽い気持ちでお邪魔しました。もちろん手土産は持っていきましたよ。社会人ですから。
さて現場の雰囲気はというと、非常にアットホーム。もう何度も顔を合わせ、仕事をしているスタッフや声優さんたちばかりなので、要領よく事が運んでいく。新参者の私はというと、手土産片手にスタジオの隅っこで佇む始末。見るに見かねた同じ会社の人間が、「ここに座っとけば」とひと言。「ここ」というのが、声優さんの活躍が最前列で見えるソファーシート。野球場でいうバックネット裏みたいなものですよ。そのシートは音響機材よりも前にあるため、監督さんや音響スタッフさんよりいい位置で、収録を見学できるわけです。そんなVIPシートに若輩者の私が座れるわけもなく、「いやいや、ボク後ろのほうでいいですよ」と。でも見学する人は、そのVIPシートに座るのが普通のようで、結局最前列で声優さんの仕事を拝見させていただきました。
収録終了後には感動を覚えましたね。声優さんのパフォーマンスも然ることながら、スタッフさんの仕事ぶり、現在の音響技術・・・・、すべてに興奮し、しばらく鳥肌が立っていました。
40分ほどの尺を前後半に分けて、それぞれほぼ一回で録っちゃうんですよ。リテイクもちょいちょいあるんですが、読み間違えによるものは、ほぼゼロ。監督さんからの細かい感情の指摘があるぐらい(ちなみに私は音読するとよく噛みます。悲しいかな、普通にしゃべっていても噛みまくるんですよね)。
監督さんの指摘も的確です。録り直したほうを聞くと、なるほどと思えるんですよね。皆さん、その道のプロだから当たり前なんですが、プロの仕事を目の当たりにすると、いかに自分が凡人かわかります。だから感動もするのですが・・・・。
また今の音響機材は、とてもハイテクなんですよ。「なるほどな」というセリフがあって、3回ぐらい録り直したとき、「なるほど」は3回目のものを使って、「な」は1回目のものを使うということが出来るんです。それも瞬時に合成され、すぐに修正したものを聴けるのです。知ってました、皆さん。
いや〜、すべてが初めてだらけで、楽しい6時間でした。アニメのキャラクターに魂が入る瞬間に立ち会えて本当によかったです。
まあそんな中、落ち込むこともあったわけです。私が持っていった差し入れです。
収録は朝の10時から行われるので、当日は買えないと思い、前日に差し入れを買いに行ったんです。声優さんやスタッフさんの好みもわからないので、私なりに結構悩んだんです。ケーキとかは食べにくいからダメだなとか、せんべいは音が出るから食べにくいかなとか、焼き菓子は口の中の水分を奪うかなとか・・・・。で、迷いに迷って小ぶりの小さな饅頭を買ったわけです。
しかし当日、饅頭が残っている残っている。プリンやあられには手が伸びるが、饅頭だけは残る。饅頭が私を見ているわけですよ。「おい、どないしてくれんねん」と。「なんか、恥ずかしいやないか」と語りかけてくるのですよ。ボクも饅頭の気持ちはわかり、ひたすら饅頭を食う始末。自分で持っていった饅頭を自分で食ってやりました。
収録自体は凄く楽しかったのですが、饅頭のことが引っかかり、帰り道、近くのグランドでやっていたおっさんたちの下手くそなサッカーを観て帰りました。
とにかく新作のオリジナルアニメDVDは着々と完成に向かって進んでいます。それとともに、予約の締め切りも迫ってきています。2月8日(月)が締め切りとなるので、まだ予約をしてないという皆さんは、急いでください。
また2月22日(月)発売のヤングマガジン第12号で『XXXHOLiC』の連載が200回を迎えます。それを記念して現在オリジナルGOODSを作っています。CLAMP先生のファンの方は、日ごろヤンマガを買われているとは思えないのですが、この号だけはヤングマガジンを買ってください。エロとヴァイオレンスの塊のような雑誌で、手にするのも憚れるかもしれませんが、この号だけは何卒宜しくお願いいたします。

第17巻に付くオリジナルアニメDVDの台本。ト書きがほとんどなくて驚いた。
耳かきがとにかく好きで、現在会社で愛用している2本。耳クソがなくても、息詰まるとカリカリ掻いてしまう。
家に置いてある麺棒入れ。頭の白い部分を引っ張ると、麺棒が出てくる。この坊やと目が合って、一目惚れをして購入。
桂田剛司
1977年7月8日生まれ。2001年講談社に入社。以来、ダラダラとヤングマガジン編集部に在籍。特筆するような経歴は何もなく、2009年11月にCLAMP担当となる。
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10/05/25

